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『広告規制24講 ― 「その表示、大丈夫ですか」の教科書 ―』【第12講】

化粧品で言ってよいこと・いけないこと

化粧品の広告表現は、薬機法が「言ってよいこと」を56項目の効能効果リストに限定しているという点で、他の商品と根本的に異なります。景品表示法の「根拠があれば言える」という世界とは逆に、化粧品では「根拠があっても言えない」表現が多数存在します。

化粧品の定義と「56の効能効果」

薬機法2条3項は化粧品を「人の身体を清潔にし、美化し、魅力を増し、容貌を変え、又は皮膚若しくは毛髪を健やかに保つために」使用され、「人体に対する作用が緩和なもの」と定義します。厚生労働省の通知(平成23年薬食発0721第1号)は、化粧品が標榜できる効能効果を56項目に限定しています。「肌にはりを与える」「肌をひきしめる」「日やけによるしみ、そばかすを防ぐ」「乾燥による小ジワを目立たなくする」などがその例です。

このリストにない治療・改善効果、たとえば「シミが消える」「シワがなくなる」「アンチエイジング」「若返り」「ニキビを治す」「毛穴が消える」などは、化粧品の効能としては表現できません。「美白」についても、通常の化粧品について医薬品的な作用として標榜することはできません。他方、「肌を白く見せる」など、メーキャップ効果であることが明確な表現は可能です。承認を受けた医薬部外品(薬用化粧品)であれば、「メラニンの生成を抑え、しみ・そばかすを防ぐ」「ニキビを防ぐ」など承認された効能効果を表示できますが、その承認範囲を超えて「消す」「治す」などと表示することはできません。

効能効果リストの「読み方」

56項目にはそれぞれ条件があります。「乾燥による小ジワを目立たなくする」は、日本香粧品学会のガイドラインに基づく効能評価試験で確認した場合に限られます。「日やけによるしみ・そばかすを防ぐ」は「日やけによる」を省略できません。「浸透」は角質層までであり、「肌の奥まで浸透」は「角質層まで」と明記しなければ違反とされます。「肌を整える」「うるおいを与える」は可能ですが、「肌質が変わる」「肌が生まれ変わる」は可能な範囲を超えます。

「使用感」「メーキャップ効果」は表現できる

一方で、化粧品の広告で許容される表現領域もあります。第一にメーキャップ効果。「小顔に見せる」「肌を白く見せる」「シミをカバーする」は、物理的な被覆効果としての表現であれば可能です。第二に使用感。「しっとり」「さらさら」「肌なじみがよい」といった感覚的表現は、事実に反しない限り問題ありません。第三に、成分の配合事実。「ヒアルロン酸配合」は事実であれば可能ですが、配合目的(保湿成分として、など)を併記し、効能効果の暗示にならないよう注意が必要です。

医薬品等適正広告基準

表現の細部は「医薬品等適正広告基準」(昭和55年、平成29年改正)と、その解説である「医薬品等適正広告基準の解説及び留意事項等」に定められています。主要なルールは、①効能効果の保証表現の禁止(「必ず効く」「◯◯が実感できる」)、②最大級表現の禁止(「最高の品質」「No.1の効果」)、③安全性の保証表現の禁止(「副作用の心配なし」「肌に優しいので安心」)、④医薬関係者・美容師等の推薦表現の原則禁止、⑤使用前後の写真の制限(第14講)、⑥他社製品の誹謗広告の禁止、などです。

執行の実態 ― 課徴金と自治体の指導

薬機法66条違反には、令和3年8月から課徴金制度(売上額の4.5%)が導入されています。実務上は、都道府県の薬務主管課による指導等が行われる場合があり、表示内容によっては景品表示法による措置命令(消費者庁)も問題となります。また、国や自治体によるインターネット広告の監視も行われているため、事業規模を問わず広告表示が確認の対象となり得ることを前提に対応する必要があります。

実務ポイント

・化粧品は「根拠があっても言えない」領域。表現は56項目の効能効果リストの範囲内に限る。

・「消える」「治る」「若返る」は化粧品でも薬用化粧品でも不可。「防ぐ」まで。

・メーキャップ効果・使用感・配合事実は表現可能だが、効能効果の暗示にならないように。

作成日付:2026年9月14日

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