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『広告規制24講 ― 「その表示、大丈夫ですか」の教科書 ―』【第21講】

広告審査は誰が、いつ、何を見るべきか

景品表示法22条1項は、事業者に対し、不当表示等を防止するために必要な体制の整備その他の必要な措置(管理上の措置)を講じることを義務づけ、消費者庁の「事業者が講ずべき景品類の提供及び表示の管理上の措置についての指針」がその内容を具体化しています。事業者の規模、業態、商品・役務の内容等に応じて必要かつ適切な措置を講ずることが求められます。正当な理由なく必要な措置を講じていない場合には、指導・助言や勧告の対象となり、勧告に従わない場合にはその旨が公表されることがあります(23条・24条)。また、実効的な広告審査体制とその記録は、課徴金における「相当の注意」の判断等でも重要な資料となります。

管理措置指針が求める7つの事項

指針は、①景品表示法の考え方の周知・啓発、②法令遵守の方針等の明確化、③表示等に関する情報の確認、④表示等に関する情報の共有、⑤表示等を管理するための担当者等(表示等管理担当者)を定めること、⑥表示等の根拠となる情報を事後的に確認するために必要な措置を採ること、⑦不当な表示等が明らかになった場合における迅速かつ適切な対応、を示しています。もっとも、これらの具体的な実施方法は一律ではなく、事業者は、その規模、業態、取り扱う商品・役務等に応じて必要かつ適切な範囲で措置を講じます。中小企業であれば、大がかりな組織を設けること自体が目的ではなく、「誰が」「いつ」「何を」確認するかを明確にし、その運用記録を残すことが重要です。

「誰が」 ― 表示等管理担当者の設計

審査体制の一例として、①マーケティング部門内の一次チェック担当者、②法務・薬事担当者(またはその役割を担う者)、③必要に応じた外部弁護士等による確認、という複数段階の仕組みが考えられます。ただし、景品表示法がこのような三層構造を一律に要求しているわけではありません。事業者の規模・業態に応じて、制作者以外の者による確認を組み込むなど、実効性のある牽制を設けることが望まれます。小規模な組織であれば、経営者自身が表示等管理担当者を務め、疑義のある表現について外部専門家に確認する運用も考えられます。

「いつ」 ― 4つのタイミング

(1)企画段階:訴求ポイントを決める時点で、その主張の根拠資料があるか、商品分類(化粧品か医薬部外品か、機能性表示食品か)上言えることかを確認します。原稿ができてから「この表現は使えません」となるのが、最もコストの高い失敗です。

(2)原稿段階:完成した原稿を、チェックリスト(第22講)に沿って審査します。強調表示と打消し表示の関係、価格表示、写真、体験談、PR表記をここで見ます。

(3)入稿・公開直前:デザイン反映後の実物(スマートフォン表示を含む)で、打消し表示の大きさ・位置、動画の表示タイミングを確認します。原稿では適切だった注記が、デザイン後に読めなくなっていることは珍しくありません。

(4)掲載後モニタリング:二重価格の「通常価格」が形骸化していないか、No.1表示の調査時点が古くなっていないか、機能性表示食品の届出内容が変更されていないか、インフルエンサーの投稿にPR表記が残っているか。広告は出したときに適法でも、時間の経過で違法になります。

「何を」 ― 審査の視点

審査は、次の順序で行うと漏れが減ります。①商品分類の確認(どの縦割り規制の対象か)、②主張の分解(広告の各文・各画像が何を主張しているか)、③根拠の対応(各主張に根拠資料があり、配合量・条件・対象が対応しているか)、④禁止表現の確認(薬機法・健康増進法・医療法の禁止表現、最上級表現、比較表現)、⑤取引条件の確認(価格・期間・数量限定・返品条件)、⑥表示態様の確認(打消し表示、写真、PR表記)、⑦第三者要素の確認(インフルエンサー・アフィリエイト・口コミの関与形態)。

記録の残し方

審査の記録は、①審査対象の原稿(版)、②チェックリストの記入結果、③根拠資料の対応表、④審査者・日付、⑤修正指示とその反映、を一つのファイルとして保存します。この記録が整っていれば、要求を受けてから15日で対応できます。整っていなければ、審査体制があったことを事後に証明することもできません。

実務ポイント

・広告審査体制は22条1項に基づく管理上の措置の一環。事業者の規模・業態に応じた実効的な体制を整え、運用記録を残す。

・制作者と審査者を分け、企画・原稿・公開直前・掲載後の4段階で見る。

・審査記録(原稿・チェック結果・根拠対応表・審査者・日付)を1ファイルで保存する。

作成日付:2026年9月16日

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