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『スポーツ・エンタメ団体紛争32講 ― 選手・団体・事務所がもめた日の教科書 ―』【第31講】

規約・懲戒規程の点検チェックリスト

この連載で扱ってきた紛争の多くは、定款・規程・契約書の不備から始まっています。本講では、第1講から第30講までの内容を、団体・事務所が自らの規約・規程・契約を点検するためのチェックリストにまとめます。「いいえ」と答えた項目は、対応する講に戻って確認してください。

A. 団体の基本ルール(競技団体・業界団体)

1. 器の確認 法人格の種類と、議決権を持つ「社員」(財団では評議員)の範囲が定款で明確になっているか。(第3講・第7講)

2. 規程の体系 定款・規程・細則の制定権限と改正手続が定められ、規程集が版ごとに管理されているか。(第4講)

3. 登録時の同意 登録選手・指導者・加盟団体が、登録・加盟の際に規程の遵守に同意したことが記録されているか。(第4講)

4. 理事会運営 招集手続・決議要件・特別利害関係理事の扱い・議事録作成のルールが定められ、運用されているか。(第5講)

5. 役員選任 役員候補者の資格・選考手続・選挙規程・委任状勧誘のルールが事前に定められ公開されているか。(第6講)

6. 社員名簿 社員(会員)名簿が正確に管理され、入退会・資格喪失の要件と手続が規程化されているか。(第7講)

7. 補助金管理 補助金・助成金の経理規程、承認手続の複線化、実績報告の点検体制があるか。(第8講)

8. 加盟規程 加盟の要件、加盟団体の遵守事項、指導・資格停止・除名の要件と手続が定められているか。(第9講)

B. 懲戒・不祥事対応

9. 懲罰規程 違反行為の類型、処分の種類、量定の基準が定められているか。(第10講・第21講)

10. 手続の適正 対象事実の告知、弁明の機会、証拠の開示、判断者の除斥、理由付きの処分通知が規程で保障されているか。(第10講・第24講)

11. 調査と判断の分離 調査担当者と処分の判断者が分けられているか。暫定措置の要件と期間が定められているか。(第21講)

12. 通報制度 選手・保護者・関係者を対象とする通報窓口と、通報者の保護・不利益取扱いの禁止が定められているか。(第22講)

13. 第三者委員会 重大事案における外部調査の基準と、委員の独立性の確保の方法が決まっているか。(第23講)

14. 公表基準 処分の公表の対象・事項・時期・方法・掲載期間・取消時の対応が定められているか。(第25講)

15. 誹謗中傷対応 被害を受けた選手・役員への支援体制(記録・弁護士・費用・声明)が定められているか。(第26講)

16. 紛争解決条項 JSAAの自動応諾条項を採択し、団体内の不服申立手続と併せて周知しているか。(第27講)

C. 選手・実演家との契約(クラブ・事務所)

17. 移籍ルール 移籍制限の目的と手段の相当性を説明でき、無期限の制限や過大な補償金がないか。(第12講)

18. 契約期間と解除 契約期間・更新方法・中途解除の条件が明確で、一方的な延長権が例外的・限定的か。(第14講)

19. 契約終了後の制限 契約終了後の競業避止・芸名使用制限・再録禁止・過去映像の利用制限が、芸能指針に照らし合理的な範囲か。(第16講)

20. 未成年者 親権者の同意の取得、報酬の支払先、利益相反への対応、18歳到達時の見直しの手順があるか。(第17講)

21. 肖像・SNS 肖像等の利用主体・目的・再許諾・対価・終了後の扱い、SNSアカウントの名義・管理・終了時の扱いが定められているか。(第18講・第19講)

22. 報酬の透明性 報酬の算定方法・分配比率・控除費用が明示され、定期的に明細が交付されているか。フリーランス法の条件明示と支払期日を守っているか。(第20講)

実務ポイント

・A(団体の基本ルール8項目)、B(懲戒・不祥事対応8項目)、C(選手・実演家との契約6項目)の計22項目で点検する。

・「いいえ」の項目は対応する講に戻り、規程・契約の改正で手当てする。

・点検の結果と改正の経過を記録に残すことが、それ自体ガバナンスの証拠になる。

作成日付:2026年9月28日

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