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『非上場株式27講 ― 売れない株の教科書 ―』【第7講】

少数株主は「少数」でも強い ― 帳簿閲覧請求・株主提案への正しい対応

3%で帳簿が見られる、1%で提案ができる

「うちの株主は3%しか持っていないから何もできない」という認識は危険です。会社法は少数株主に、持株比率に応じた強力な権利を与えています。

図表:少数株主権の階段

必要な議決権等 行使できる主な権利 条文
1株でも 株主代表訴訟の提起(公開会社でない場合は保有期間要件なし)、定款・株主名簿・議事録の閲覧謄写、総会決議取消しの訴え 会社法847条、31条2項、125条2項、318条4項、831条
議決権1%以上 株主提案権(取締役会設置会社。公開会社でない場合は保有期間要件なし) 303条2項・3項
議決権3%以上(又は発行済株式3%以上) 会計帳簿閲覧謄写請求、総会招集請求、役員解任の訴え、検査役選任の申立て 433条1項、297条、854条、358条
議決権10%以上(又は発行済株式10%以上) 解散の訴え 833条1項

とりわけ実務上のインパクトが大きいのが**会計帳簿閲覧謄写請求(433条1項)**です。総勘定元帳や補助簿レベルの生の経理情報にアクセスできるため、少数株主側にとっては、①株価算定の基礎資料の入手、②役員の利益相反・過大報酬の発見、③交渉圧力の形成という三役をこなす武器になります。株式の売却価格を高めるための準備行為として帳簿閲覧請求が使われることも、実務ではごく一般的です。

会社側の対応 ― 拒めるのは433条2項の拒絶事由に当たる場合だけ

会社は、請求者が「株主の権利の確保・行使に関する調査以外の目的」で請求した場合や、会社業務と実質的に競争関係にある事業を営む場合など、433条2項各号の拒絶事由がある場合に限り、閲覧を拒めます。拒絶が正当かどうかは最終的に閲覧謄写の仮処分・訴訟で争われ、安易な拒絶は敗訴リスクだけでなく、紛争全体における会社側の心証を悪化させます。

会社側の正しい対応は、感情的に突っぱねることではなく、①請求の目的・理由の特定を求め、②拒絶事由該当性を法的に精査し、③開示範囲・方法(閲覧の場所、謄写の方法、対象帳簿の範囲)を交渉によりコントロールすることです。逆に言えば、この初動を誤ると、少数株主側に「会社は何か隠している」という強力な武器を与えることになります。

権利行使の先にある「出口」を見据える

少数株主による権利行使の多くは、それ自体が目的ではなく、株式の高値買取りという出口に向けた布石です。会社側は、目の前の請求への対応と並行して、「この株主との最終的な着地点はどこか」(任意買取りか、放置か、スクイーズアウトか)という出口戦略を早期に設計する必要があります。個々の権利行使への対症療法に終始することが、最も高くつきます。

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