その紙切れ一枚で、あなたの権利は消えない
ある日突然、大家さんや管理会社、あるいは見知らぬ不動産会社から通知が届きます。「建物が老朽化したので取り壊します。○月末までに退去してください」――。
最初にお伝えしたいことは一つです。借主の同意なく、貸主の都合だけで賃貸借契約を終わらせることは、法律上、簡単にはできません。 建物の賃貸借には借地借家法という借主保護の強い法律が適用され、貸主からの更新拒絶・解約申入れには「正当の事由」(借地借家法28条)が必要です。そして実務上、正当事由の判断では立退料の支払いが重要な考慮要素となります。「無料で」「期日までに」出て行かなければならないケースは、実はかなり限られているのです。
図解:立ち退き要求への対応・全体地図
立退料の攻防第4〜8講
移転実費+借家権価格+(事業なら)営業補償
交渉で合意
合意書の締結・退去第15・17・18講
不調
明渡訴訟第16講
判決 or 訴訟上の和解
なぜ「初動」がすべてなのか
立ち退き問題の結論は、多くの場合、裁判所ではなく交渉の初期段階で方向づけられます。よく分からないまま「退去承諾書」にサインしてしまう。口頭で「考えます」と答えたことを「合意した」と扱われる。逆に感情的に対立して、もらえたはずの条件を失う――。当事務所が拝見してきた失敗例の大半は、専門家に相談する前の数週間に起きています。
当事務所は、貸主から債務不履行解除を主張され**「0円で退去せよ」と迫られていた中華料理店の代理人として、最終的に8,000万円の立退料を獲得した実績**(第13講で詳述)を持つ一方、ディベロッパー側の代理人として再開発・建替えに伴う立ち退き案件にも多数関与してきました。求める側の手の内を知っているからこそ、求められる側の守り方が分かる――本シリーズは、その両側の経験を、立ち退きを求められた方のために全20講で開示するものです。
※解決実績は当該事案の事情に基づくものであり、結果を保証するものではありません。