ホーム ─ 連載コラム ─ 不動産オーナーの相続24講 ─ 第24講

『不動産オーナーの相続24講 ― 地主と大家の教科書 ―』【第24講】

不動産の相続、まず何を相談すればよい?― 家族の希望を、実行できる承継計画へ

第24講不動産オーナーの相続24講

不動産の相続、まず何を相談すればよい?― 家族の希望を、実行できる承継計画へ

地主と大家の教科書 | 明徳法律事務所

掲載ページ | 改訂日:2026年9月18日

「財産はあるが、全体を把握できていない」「税理士には相談しているが、家族が納得する分け方が分からない」「争うつもりはないが、今の提案に署名してよいか不安」。その段階から整理を始める意味があります。

この講の要点不動産相続の目標は、誰が何を得るかを決め、その後の暮らしと賃貸経営が実際に続く状態をつくることです。 そのために、本連載の知識を「権利」「お金」「実行」の三つへまとめ直します。

権利・お金・実行を、一つの計画として考える

観点 明らかにすること 整理したい成果
権利 誰の財産か、誰が相続するか、誰の同意が必要か 相続関係と物件・会社の権利関係の一覧
お金 評価、借入、税金、代償金、修繕費、生活費 分け方ごとの資金不足と手取りの比較
実行 いつ、誰が、何を決め、どの手続をするか 協議・登記・売却・納税の工程と担当

遺言があっても代償金が払えない、節税できても借入返済が続かない、合意できても会社の意思決定が止まる。そのような食い違いを、計画段階で見つけることが大切です。

生前なら、本人の希望と判断能力があるうちに整理する

「長女に経営を任せたい」「配偶者の暮らしは守りたい」「先祖の土地はできるだけ残したい」。まず希望を伺い、物件ごとの収支・権利・借入を確認します。

その上で、遺言、任意後見、信託、贈与、保険、売却などの手段を比較します。手段を先に選ぶと、本人の希望と契約内容がずれることがあります。承継する人が管理できるか、他の家族への資金を用意できるか、見直す時期をいつにするかまで考えます。

相続後なら、期限と当面の管理を先に押さえる

遺産分割が終わるまで、賃料の入金、借入返済、保険、修繕、入退去対応は待ってくれません。管理権限と報告方法を確認しながら、相続人・遺言・遺産・負債を調べます。

相続放棄を検討する場合の熟慮期間、相続税申告、相続登記、遺留分や特別寄与料の期間制限は、起算点も効果も異なります。初期の相談では、相続開始日だけでなく、各事実をいつ知ったか、既に何を処分・署名したかもお伝えください。分割交渉中でも申告や登記への対応が必要になるためです。国税庁・相続税の申告と納税

架空設例:物件を残す案と、一部を売る案を比較する

母の生活費を賃貸収入で支え、長男が管理を引き継ぎ、長女にも財産を渡したい家族を想定します。主な財産はアパート2棟、実家、少額の預金です。

アパートを長男に集める案では、母の生活費と長女への代償金を用意する必要があります。1棟を売る案では、売却後の収入減と、税引後の資金を比べます。実家を共有する案では、母の居住が終わった後の処分方法が課題になります。

家族の希望を聞くだけでも、税額だけを計算しても、結論は出ません。各案の評価と資金をそろえ、必要な合意・契約・登記まで見通して比較すると、選ぶ理由を家族に説明しやすくなります。

最初の相談は、手元の資料と「困っていること」から

全部そろえるために相談を遅らせる必要はありません。ある範囲で、次の資料をお持ちください。

  • 家族関係、相続開始日、連絡が難しい人を記したメモ。
  • 遺言書、協議書、相手から届いた提案や通知。
  • 固定資産税の明細、登記資料、賃貸借契約、収支資料。
  • 預金、借入、保証、相続税申告に関する資料。
  • 「残したいもの」「受け入れにくいこと」「迫っている期限」。

税理士等と、どのように役割を分けるのか

税理士は税額試算や税務申告、不動産鑑定士は目的に応じた評価、司法書士は登記手続など、それぞれの専門性があります。売却には宅地建物取引業者、境界や分筆には土地家屋調査士の関与を検討する場合もあります。

弁護士は、権利関係と紛争の見通しを踏まえ、交渉・契約・裁判手続を扱います。必要に応じて、ご依頼者の同意を得た上で既に相談中の専門家等と情報を共有し、法的に合意できる案と、税務・登記・資金面で実行できる案を一致させることを検討します。裁判所・遺産分割調停の手続案内

よくある質問

Q.まだ家族でもめていません。相談するのは早すぎますか。
A.相続人の希望が一致していても、債務の引受けや税負担などの見落としがあり得ます。署名や売却の前に、案を点検する相談にも意味があります。

Q.家族全員で相談しなければなりませんか。
A.まず1人でご相談いただくこともできます。誰の立場で助言・代理するか、家族間に利益の対立がないかを確認します。対立する相続人双方の代理はできません。

Q.費用はどの段階で確認すればよいですか。
A.相談予約時に相談料を、具体的な依頼の検討時に業務範囲と見積りを確認してください。調査、交渉、調停・訴訟のどこまでを含むか、実費や他の専門家の費用、追加費用の条件も大切です。

明徳法律事務所へのご相談

守りたい不動産がある方、納得できる分け方を探している方、提示された協議書に不安がある方は、現在分かっていることと、いちばん困っていることをお聞かせください。

何が争点で、何を先に決め、どの資料を集めるべきか。 明徳法律事務所への相談は、その順序を整理するところから始まります。不動産の価値とご家族の希望を、実行できる承継につなげるために、ご自身の状況を一緒に確認していきましょう。

このテーマについて明徳法律事務所に相談する

あわせて読む:第1講 | 第23講

不動産オーナーの相続24講 目次へ戻る