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『不動産オーナーの相続24講 ― 地主と大家の教科書 ―』【第23講】

資産管理会社がある家の相続― 不動産・自社株・経営権を一緒に設計する

第23講不動産オーナーの相続24講

資産管理会社がある家の相続― 不動産・自社株・経営権を一緒に設計する

地主と大家の教科書 | 明徳法律事務所

掲載ページ | 改訂日:2026年9月18日

「会社名義のマンションを、相続で子どもに1室ずつ分けたい」。資産管理会社を使っている場合、最初に確かめるべきは、そのマンションが誰の財産なのかです。

この講の要点会社が所有する不動産は会社の財産です。株主が亡くなったとき、通常、相続の対象になるのはその人の株式であり、会社の不動産そのものではありません。 この区別を外すと、遺産分割の案が実行できなくなります。

個人と会社の間の権利を、一本ずつ確認する

対象 相続で確認すること
被相続人個人が所有する土地・建物 誰が取得し、貸主としての地位をどう承継するか
会社所有の土地・建物 会社の機関決定、融資契約、賃貸管理をどう続けるか
被相続人が持つ株式 誰が取得し、議決権を行使するか
被相続人から会社への貸付金 個人側の債権として金額・回収条件を確認
会社借入に対する個人保証 保証契約、相続人への影響、金融機関との対応を確認

たとえば、土地は父個人、建物は会社、借入の保証人は父という構成もあります。「資産管理会社がある」と一括りにせず、登記、決算書、賃貸借契約、融資・保証契約を照合します。

株式を分けるまでの間にも、会社の意思決定は必要になる

共同相続された株式は、分割まで準共有となる場合があり、会社法106条に基づく権利行使者の指定・通知などが問題になります。「子が2人だから、それぞれ当然に半分の議決権を使える」という理解はできません。

権利行使者を決めるための共同相続人間の意思決定と、その人が具体的な議案についてどのように権利行使できるかは、区別して検討します。会社の同意があれば相続人間のルールを無視してよいわけでもありません。

また、代表取締役の地位は相続されません。代表者が亡くなった場合は、会社の機関設計や定款に従った選任等が必要です。修繕契約や借換えを控えているなら、株式評価の確定を待たず、当面の意思決定をどう確保するか考えます。会社法106条・329条・349条等

税務評価と、家族間での分け方の評価を混同しない

非上場株式の相続税評価は、会社規模、株主の立場、土地等の保有状況などによって変わります。会社に不動産が多ければ、土地保有特定会社の判定や、純資産価額の計算も重要です。これと、遺産分割で株式の価値をいくらと合意するかは、同じ問題ではありません。国税庁・特定の評価会社の株式

2024年以後に相続等で取得した非上場株式を純資産価額方式で評価する場合、会社が持つ対象の居住用区分所有財産にも、新しい評価通達が適用されます。法人名義にすれば、新しいマンション評価の影響を避けられるとはいえません。 ただし、会社が課税時期前3年以内に取得等した対象財産は、財産評価基本通達185の取扱いにより通常の取引価額で評価します。区分登記のない一棟所有の賃貸マンションなど、対象外の財産との区別も必要です。国税庁・居住用の区分所有財産の評価に関するQ&A(問1・問3)

架空設例:兄弟が半分ずつ株を持ち、会社が動かなくなる

父が全株式を持つ会社には賃貸マンションがあります。兄が経営を担い、弟には公平な財産を渡したいと考え、株式を半分ずつ承継させる案が出ました。

しかし、配当、役員報酬、大規模修繕、物件売却をめぐって意見が割れると、機関設計によっては会社の意思決定が滞ります。一方で、兄に株式を集中させれば、弟への代償金や遺留分、兄の納税資金が問題になります。

そこで、株式の取得者、個人所有資産の配分、生命保険等の資金、会社への貸付金の処理を組み合わせます。種類株式などを使う場合も、権利内容・税務・将来の出口まで検討して初めて、承継の道具になります。

ご相談前のチェック

  • 株主名簿、定款、登記、直近の決算書を確認できるか。
  • 個人所有と会社所有の不動産を区別できているか。
  • 会社への貸付金、個人保証、家族間の名義株がないか。
  • 承継後、誰が経営し、他の相続人はどう資金を受け取るか。

よくある質問

Q.会社の預金で、相続人の相続税を払えますか。
A.会社のお金は株主個人のお金ではありません。配当、貸付け、自己株式取得などには、それぞれ会社法上・税務上の条件があり、自由に引き出すことはできません。

Q.不動産を法人化すれば、相続は簡単になりますか。
A.株式による承継が便利な場合はありますが、経営権と換金性の問題が加わります。個人から会社への移転費用や税負担も含めて比較します。

明徳法律事務所への相談で整理すること

個人の相続関係と会社の権利関係を重ね、経営を続けるための意思決定と、相続人間の財産配分を検討します。非上場株式、遺留分、賃貸借の問題を同じ資料の上で整理することが、資産管理会社の相続では重要です。株式の紛争は関連連載「非上場株式27講」もご参照ください。

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あわせて読む:第9講 | 第24講

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