論点①:預貯金の使い込み
相続開始後に共同相続人の一人が遺産の預貯金を無断で処分した場合、他の相続人全員の同意により、処分された財産を遺産分割の対象に含めることができます(民法906条の2第2項)。生前の引出しについては、不当利得返還請求・不法行為に基づく損害賠償請求(民事訴訟)で争うのが基本で、取引履歴の開示請求と使途の分析が勝敗を決めます。
論点②:実家への「タダ住まい」
同居相続人の遺産分割までの居住は使用貸借の推認により保護され得る一方(最高裁平成8年12月17日判決。第16講)、被相続人から受けた長期の無償利用が特別受益(民法903条)と評価されるかは事案によります。なお婚姻期間20年以上の夫婦間での居住用不動産の遺贈・贈与には、持戻し免除の意思表示が推定されます(民法903条4項)。
論点③:介護・事業への貢献
相続人の寄与分は民法904条の2。相続人でない親族(典型は長男の妻)の貢献には特別寄与料の請求が創設されています(民法1050条。相続開始・相続人を知った時から6か月以内等の期間制限あり)。いずれも「通常期待される程度を超える特別の寄与」の立証が必要で、介護記録・領収書等の客観資料が生命線です。