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『不動産オーナーの相続24講 ― 地主と大家の教科書 ―』【第21講】

遺産分割調停で不動産をどう分ける?― 争点・証拠・支払能力を整理する

第21講不動産オーナーの相続24講

遺産分割調停で不動産をどう分ける?― 争点・証拠・支払能力を整理する

地主と大家の教科書 | 明徳法律事務所

掲載ページ | 改訂日:2026年9月18日

「話合いを重ねても、兄は『自分が全部管理してきた』と言うばかり」。そのようなときは、争いを論点ごとに整理し、家庭裁判所で解決を目指す方法があります。

この講の要点調停で伝えるべきなのは、希望する結論と、それを支える事実・評価・実行方法です。 申立てをすれば裁判所がすべての財産を探し、最適な分け方を作ってくれるわけではありません。

調停は、何をどの順番で決めるのか

主な確認事項は次のとおりです。事案によって並行して進むこともあります。

論点 不動産がある場合の準備
相続人・遺言 戸籍、遺言書、既存の協議書を確認
遺産の範囲 登記、預金、会社資産との区別を確認
不動産評価 査定条件、賃貸状況、修繕負担、評価時点を統一
取得割合の調整 生前贈与や寄与分について証拠を提出
分割方法 現物・代償・換価・共有を比較し、実行条件を示す

調停で合意が成立しなければ、通常は自動的に審判へ移り、裁判官が判断します。遺産分割は必ず先に協議を尽くさなければ申し立てられない手続ではありませんが、合意できた点とできない点を整理しておくと進行に役立ちます。裁判所・遺産分割調停

すべての相続トラブルを、一つの手続で解決できるとは限らない

遺言の有効性、財産が本当に被相続人の所有だったか、生前の無断出金の返還などには、別の訴訟が必要になる場合があります。調停で一括して合意できる範囲と、審判で裁判所が判断できる範囲も同じではありません。

そのため、争点を「遺産を分ける話」「先に権利を確定する話」「別途金銭の返還を求める話」に分けます。前提問題を後回しにして、分割案だけを何度も書き直すことは避けたいところです。大阪家庭裁判所・遺産分割調停の手続について

10年経つと、特別受益・寄与分の取扱いが変わる

民法904条の3により、相続開始から10年経過後の遺産分割では、原則として特別受益・寄与分を反映しない取扱いになります。ただし、10年経過前に家庭裁判所へ遺産分割を請求した場合など、法律上の例外があります。単に親族間で話合いを続けているだけでは、同じ扱いになりません。

2023年4月1日より前に始まった相続には経過措置があり、「相続開始から10年」と「施行から5年」の遅い方を基準とするため、少なくとも2028年3月31日までは猶予があります。期間満了前6か月以内に請求できないやむを得ない事情があった場合の例外は、事情が消えた後6か月以内の請求など、要件の個別確認が必要です。全員が合意して特別受益等を考慮する分割は、期間経過後も可能です。

これは遺産分割そのものができなくなる期限ではありません。長期間放置された相続では、何をいつまでに主張する必要があるかを先に確認します。民法904条の3

架空設例:「アパートを継ぎたい」を実行できる提案に変える

姉が賃貸アパートを取得し、弟に代償金を支払う案を考えているとします。姉に現金がなければ、「毎月の家賃から払う」だけでは弟の不安は解消しません。

借入返済と修繕費を差し引いた収支、融資の可否、支払期限、分割払の担保、履行できない場合の処理まで具体化します。評価額についての譲歩と、支払方法についての譲歩を分けると、交渉の選択肢が見えてきます。

申立て前のチェック

  • 自分が最優先したいのは、物件・現金・居住・早期解決のどれか。
  • 争点ごとに資料があり、推測と確認済みの事実を区別できているか。
  • 借入、賃料、納税、修繕を調停中も管理できるか。
  • 調停成立後に、登記・支払・引渡しを実行できるか。

よくある質問

Q.先に申し立てた方が有利ですか。
A.申立人という立場だけで、相続分が増えたり有利になったりすることはありません。資料と提案の準備が重要です。

Q.相手が出席しなければ終わりですか。
A.合意は難しくなりますが、不成立後の審判などによる解決を検討できます。所在不明の場合は別の準備も必要です。大阪家庭裁判所・よくある質問

明徳法律事務所への相談で整理すること

争点ごとの見通しと証拠不足を洗い出し、交渉を続けるか、調停や別訴を利用するかを検討します。不動産の評価だけでなく、代償金を払えるか、取得後に運営できるかまで含めて、実行できる分割案を組み立てます。

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