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『不動産オーナーの相続24講 ― 地主と大家の教科書 ―』【第20講】

空き家になった実家、売る前に読む― 3,000万円控除の条件と契約の落とし穴

第20講不動産オーナーの相続24講

空き家になった実家、売る前に読む― 3,000万円控除の条件と契約の落とし穴

地主と大家の教科書 | 明徳法律事務所

掲載ページ | 改訂日:2026年9月18日

「古い実家を売るなら、3,000万円までは税金がかからない」。この理解だけで、解体や売買契約を進めるのは避けたいところです。

この講の要点空き家特例は、家の古さだけで決まりません。誰が住んでいたか、誰が相続したか、その後どう使ったか、いつ・誰に売るかまで確認する制度です。 控除額は売却代金からではなく、譲渡所得から差し引きます。

まず、対象となる実家かを確認する

主な入口は、1981年5月31日以前に建築された家屋で、区分所有建物登記がされておらず、相続開始直前に被相続人以外の居住者がいなかったことです。老人ホーム等への入所については、要介護認定や入所後の家屋利用などの要件を満たせば対象になる場合があります。単に「最後は病院や施設にいた」とだけ整理せず、生活の経過を確認します。国税庁・空き家を売ったときの特例

土地だけを相続した人などは、対象者の要件にも注意が必要です。遺産分割で家屋と土地を誰に取得させるか決める段階から、特例との整合を確認します。

期限は「相続後3年の年末」と「制度の終了日」の両方を見る

現行制度の対象は、2027年12月31日までの譲渡です。これに加え、相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までという個別の期限があります。どちらも満たす必要があり、2026年の相続だから当然に2029年末まで使える、とはいえません。制度延長を前提に売却時期を決めないことが大切です。国土交通省・空き家の譲渡所得の特別控除

「売れる条件」と「控除を使える条件」を一枚にする

確認項目 見落としやすい点
相続後の利用 売却までの貸付け・居住・事業利用は、特例の支障となる
売却代金 1億円以下の判定では、他の相続人の売却分や分割売却分の合算が必要な場合がある
買主 親子・夫婦など、特別の関係がある相手への売却は対象外
控除額 対象家屋と敷地等を取得した相続人が3人以上なら、2024年以後の譲渡は1人最高2,000万円
手続 市区町村の確認書などをそろえ、確定申告する必要がある

家屋の耐震基準への適合や全部取壊しにも要件があります。2024年以後は、譲渡後、その年の翌年2月15日までに耐震改修や全部取壊しを行う方法も認められています。ただし、「買主が解体する予定」だけで要件を満たすわけではありません。国税庁・適用要件と提出書類

架空設例:年末の売却で、解体を買主に任せる場合

12月に売却し、買主が翌年に解体すると約束した実家。工事が3月にずれ込むと、譲渡後の全部取壊しによる特例を使うための期限に間に合いません。

そこで契約前に、工事の期限、工事費の負担、解体を確認する書類の提供、進捗の報告、要件を満たせなかった場合の責任を検討します。特約があっても税務上の要件が緩和されるわけではなく、損害の全額を回収できるとも限りません。買主の工事計画自体の実現性を確認する必要があります。国土交通省も、買主の協力を確保するための特約例を公表しています。国土交通省・譲渡後の工事と特約の案内

保有を続けるなら、毎年の費用と責任も計算する

固定資産税、保険、草木の管理、雨漏り、近隣への影響を含め、保有費用を見積もります。管理不全空家等・特定空家等について勧告を受けると、土地の固定資産税等の住宅用地特例から除外され得ます。ただし、「空き家になっただけで税額が必ず6倍」という説明は正確ではありません。国土交通省・改正空家法

よくある質問

Q.一時的に貸してから売っても使えますか。
A.相続後の貸付けは特例の要件に抵触します。売却と賃貸の比較は、税効果を含めて貸す前に行います。

Q.相続税の取得費加算も同時に使えますか。
A.同じ家屋・敷地については選択です。第19講の手取り計算に両案を入れて比較します。

明徳法律事務所への相談で整理すること

遺産分割、共有者の同意、現居住者の有無、解体の権限、売買契約上の協力義務を確認します。税理士に適否を確認するための事実関係をそろえ、控除を使う計画が契約と実際の工程に反映されているかを点検します。

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あわせて読む:第17講 | 第19講

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