不動産オーナーの相続は、3方向の「相手」を同時に見る必要があります。
相手①:共同相続人
遺言がなければ、法定相続分(配偶者と子なら2分の1ずつ。民法900条)を前提に全員一致の協議が必要です。一人でも反対すれば協議は成立せず、不動産は塩漬けになります。
相手②:税務署
相続税は10か月以内の申告・納付(相続税法27条・33条)。しかも小規模宅地等の特例(租税特別措置法69条の4)など主要な減額特例の多くは、期限内申告と遺産分割の成立が前提です(未分割の場合は「申告期限後3年以内の分割見込書」の提出で後日適用の余地。同条4項)。もめている家ほど税負担が重くなる構造です。
相手③:時間
令和3年民法改正により、相続開始から10年を経過すると、原則として特別受益・寄与分の主張ができなくなり、法定相続分(指定相続分)による分割となります(民法904条の3。令和5年4月1日施行)。また令和6年4月1日からは相続登記が義務化され、不動産取得を知った日から3年以内の登記申請を怠ると10万円以下の過料の対象になり得ます(不動産登記法76条の2第1項・164条1項。施行前の相続にも適用され、その場合の期限は令和9年3月31日)。「放っておく」という選択肢は、法律上も消えました。