ホーム連載コラム不動産オーナーの相続24講 ─ 第3講

『不動産オーナーの相続24講 ― 地主と大家の教科書 ―』【第3講】

不動産には「4つの値段」がある ― 固定資産税評価・路線価・時価・収益価格

「実家の評価額はいくらですか」という問いに、唯一の正解はありません。

図表:同じ不動産に併存する4つの値段

値段 使われる場面 水準の目安
固定資産税評価額 固定資産税・登録免許税 時価の7割前後
相続税評価額(路線価等) 相続税・贈与税の申告 時価の8割前後
時価(実勢価格) 遺産分割・遺留分・売買 市場での取引価格
収益価格 賃貸物件の投資判断・鑑定 賃料収益から逆算

遺産分割は「時価」、相続税は「路線価」

家庭裁判所の遺産分割実務では、分割時の時価を基準とするのが確立した取扱いです。相続税申告の路線価評価をそのまま遺産分割に流用すると、取り分を数百万円単位で誤ることがあります。逆に、相続税の世界では原則として財産評価基本通達により評価しますが、通達評価と実勢の乖離が著しく租税負担の公平に反する特別の事情がある場合には、通達によらない評価(いわゆる総則6項)が適法とされます(最高裁令和4年4月19日第三小法廷判決・民集76巻4号411頁。第10講で詳述)。

どの場面で、どの値段で戦うのか──不動産相続の入口で最初に確認すべき視点です。

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