遺言がない場合、不動産は相続人全員の遺産共有となり(民法898条)、遺産分割協議は全員一致が原則です。預貯金も平成28年の判例変更により遺産分割の対象となり(最高裁大法廷決定平成28年12月19日・民集70巻8号2121頁)、協議がまとまるまで自由に動かせません(一定額の仮払い制度はあります。民法909条の2)。
起きがちな連鎖
賃貸物件の管理・修繕の意思決定が止まる。納税資金の売却が進まない。二次相続・数次相続で共有者が雪だるま式に増える。相続登記義務(第2講)に違反するリスクも生じます。
遺言があるだけで消える紛争がある
「誰が何を取得するか」を遺言で指定しておけば、遺産分割協議自体が不要になります(遺留分の問題は残ります。第9講)。不動産オーナーにとって遺言は節税策ではなく、分割不能リスクへの保険です。