ホーム連載コラム不動産オーナーの相続24講 ─ 第6講

『不動産オーナーの相続24講 ― 地主と大家の教科書 ―』【第6講】

認知症になったら不動産は凍結される ― 任意後見という備え

意思能力を欠く状態で行った売買・賃貸借等の法律行為は無効です(民法3条の2)。所有者が認知症で判断能力を失うと、売却も、大規模修繕の契約も、建替えの借入もできない──不動産が事実上「凍結」されます。

法定後見の限界

家庭裁判所が選任する成年後見人は本人の財産保護が使命であり、資産の組換えや相続税対策のような積極的運用は原則として期待できません。居住用不動産の処分には家庭裁判所の許可も必要です(民法859条の3)。

任意後見 ― 元気なうちに「自分で選ぶ」

任意後見契約は、判断能力があるうちに、後見人となる人と委任内容を公正証書で定めておく制度です(任意後見契約に関する法律3条)。効力は、判断能力低下後に家庭裁判所が任意後見監督人を選任した時から生じます(同法4条)。誰に、どの不動産の、どこまでの管理・処分を任せるかを自分で設計できるのが法定後見との決定的な違いです。財産管理委任契約・見守り契約・死後事務委任と組み合わせるのが実務の定石です。

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