家族信託(民事信託)は、委託者が信頼できる家族(受託者)に不動産の管理・処分権限を移し、利益は受益者が受け取る仕組みです(信託法に基づく契約)。認知症による凍結を回避しつつ、「自分亡き後は妻へ、妻亡き後は長男へ」といった受益者連続型の設計もできます(信託法91条。信託設定後30年経過後の承継には制限があります)。
限界①:遺留分は回避できない
信託を使っても遺留分の規律からは逃れられません。遺留分制度を潜脱する目的の信託について、その限度で公序良俗に反し無効と判断した裁判例もあります(東京地裁平成30年9月12日判決)。
限界②:税務メリットは原則ない
家族信託自体に相続税・贈与税の節税効果は原則ありません。また受託者には分別管理義務・帳簿作成義務等の重い義務が課され(信託法34条・37条)、金融機関の信託対応口座や借入の可否など実務上の制約もあります。遺言・任意後見・信託は競合ではなく、適材適所で組み合わせる道具です。