借金は「当然分割」、物件は「協議次第」
金銭債務は相続開始と同時に法定相続分に応じて各相続人に当然に分割承継されます(最高裁昭和34年6月19日判決の趣旨)。つまり遺産分割協議で「アパートとローンは長男が全部引き継ぐ」と決めても、それは相続人内部の取り決めにすぎず、債権者(銀行)には対抗できません。銀行の同意を得て免責的債務引受(民法472条3項)を行って初めて、他の相続人は法的に債務を免れます。
「負動産」なら相続放棄という選択肢
収支が回らない物件と債務しか残らないなら、相続放棄(民法915条1項。自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述)も選択肢です。ただし放棄は全財産が対象で、「アパートだけ放棄」はできません。連帯保証の承継、団体信用生命保険の有無、金利・残債と収支の確認――アパートオーナーの相続では、資産より先に負債を棚卸しするのが鉄則です。