ホーム連載コラム立ち退き20講 ─ 第14講

『立ち退き20講 ― 立退料の教科書 ―』【第14講】

その通知、期限を守っていますか ― 更新拒絶・解約申入れのルールと法定更新

正当事由の前に「手続」がある

貸主が普通借家を終了させるには、正当事由(第3講)の前に、厳格な手続要件をクリアしなければなりません。ここでつまずいている立ち退き要求は、実務上、珍しくありません。

期間の定めのある契約(例:2年契約)の場合、貸主は期間満了の1年前から6か月前までの間に、更新をしない旨の通知(更新拒絶通知)をしなければならず(借地借家法26条1項)、この通知を怠れば、正当事由の有無を論じるまでもなく、契約は従前と同一条件で法定更新されます(期間の定めのないものとして更新。26条1項ただし書)。

期間の定めのない契約の場合、貸主の解約申入れから6か月の経過により契約は終了しますが(27条1項)、その解約申入れに正当事由が必要です(28条)。

さらに重要なのが使用継続への異議です。期間満了・解約申入れ後も借主が建物の使用を継続する場合、貸主が遅滞なく異議を述べなければ、やはり法定更新が生じます(26条2項・27条2項)。

図解:借主側・通知チェックフロー

立ち退き通知が届いた
Q1

通知はいつ届いたか?

期間満了の1年前〜6か月前の枠外 → 26条1項違反

今期の期間満了では終了しない(法定更新)

Q2

誰から届いたか?

貸主本人・代理権ある者か/非弁業者ではないか第15講

Q3

内容は特定されているか?

終了原因(更新拒絶か解約申入れか)・対象・期日

Q4

期間経過後も住み続けて/営業し続けている場合、貸主は遅滞なく異議を述べているか?(26条2項・27条2項)

「手続の瑕疵」は時間を生み、時間は条件を生む

通知の時期・方式の不備は、それ自体で紛争を終局的に解決するものではありません(貸主は次の期間満了に向けて改めて通知できます)。しかし借主側にとって、法定更新の主張が立つことは、交渉のための時間と**「急いで出る必要はない」という交渉ポジション**を意味します。立ち退き交渉における時間は、ほぼそのまま条件(立退料)に換算されます。通知が届いたら、封筒の消印・受領日を保存し、契約書の期間と突き合わせる――この地味な確認から、反撃は始まります。

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