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『立ち退き20講 ― 立退料の教科書 ―』【第17講】

退去が決まったら ― 敷金・原状回復・造作、そして合意書の書き方 ―

第17講第Ⅳ部 交渉・手続編――進め方と落とし穴

退去が決まったあとのお金――敷金・原状回復・造作、そして合意書の書き方

立退料の合意だけで安心しない。「金額以外の条件」まで書き切る

『立ち退き20講――立退料の教科書』執筆者 坂本龍亮(明徳法律事務所 弁護士)お問い合わせ先:info@meitoku-law.jp読了目安 20分

公開日 2026年8月9日改訂日 2026年9月23日

この講の結論

立退料の金額がまとまっても、退去時のお金の論点はまだ残っています。敷金は、賃貸借の終了と明渡しの後に、未払賃料などの債務を差し引いた残額が返還されるのが原則で(民法622条の2)、「償却が慣例」という説明に法的根拠はありません。原状回復について、通常の使用による損耗と経年変化は借主の負担ではなく(民法621条)、通常損耗まで借主に負担させる特約は、その範囲が契約書に具体的に明記されているなどの明確な合意がなければ認められません。建物を取り壊す予定なのに内装の原状回復を求めることには合理性がなく、実務では原状回復義務の全部免除を合意することが広く行われており、これは立退料の実質的な上乗せです。合意書には、立退料の金額と支払期日、支払と明渡しの順序、明渡しの期限と猶予、原状回復の免除、敷金の返還、未払や係争中の金銭の清算、違約時の定め、清算条項の八点を書き切ってください。ここを詰めずに退去すると、せっかくの立退料から原状回復費用などが差し引かれ、手取りが目減りします。

立退料の合意だけで安心しない

長い交渉の末に立退料の金額がまとまると、それで終わったような気持ちになります。しかし、退去時にはまだいくつものお金の論点が残っています。敷金・保証金は全額戻るのか。原状回復はどこまで求められるのか。造作や設備はどうするのか。立退料はいつ、どの順序で支払われるのか。

これらを詰めずに退去すると、せっかくの立退料から原状回復費用や「償却」名目の控除が差し引かれ、手取りが目減りします。逆に、これらを合意書に書き込むことは、金額に表れない価値を確保することであり、立退料の実質的な上乗せになります。この講では、退去時のお金のルールと、合意書に書くべきことを整理します。

敷金は返ってくるのが原則――民法622条の2

平成29年の民法改正(令和2年4月1日施行)で、敷金のルールは明文化されました。敷金とは、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる借主の債務を担保する目的で借主が貸主に交付する金銭をいい(民法622条の2第1項柱書)、貸主は、賃貸借が終了して賃貸物の返還を受けたときに、受け取った敷金の額から借主の債務の額を控除した残額を返還しなければなりません(同項1号)。

この条文から導かれることは三つあります。第一に、返還の時期は「賃貸借の終了」と「明渡し」の両方が揃った後です。明渡しの前に敷金の返還を求めることはできず、逆に、敷金が返ってこないことを理由に明渡しを拒むこともできません(同時履行の関係にはありません)。第二に、控除できるのは借主の債務に充当される部分だけです。未払賃料、借主が負担すべき原状回復費用などがこれに当たります。第三に、「敷金は償却するのが慣例」「退去時には返さないことになっている」という説明に、法律上の根拠はありません。契約書に償却や敷引の特約がなければ、債務を控除した残額は全額返還されます。

建物の所有者が変わっている場合、敷金の返還義務は新所有者が承継します(民法605条の2第4項)。「前の所有者から敷金を引き継いでいない」という新所有者の言い分は、借主に対しては通用しません。

敷引特約と保証金の償却

関西などで見られる敷引特約(保証金から一定額を無条件で差し引く特約)や、事業用建物の保証金の償却条項については、特約がある以上、原則として有効です。ただし、居住用建物で貸主が事業者、借主が消費者である場合には、消費者契約法10条による制限が問題になります。

最判平成23年3月24日(民集65巻2号903頁)は、消費者契約である居住用建物の賃貸借に付された敷引特約について、敷引金の額が賃料の額、礼金等他の一時金の授受の有無及びその額等に照らして高額に過ぎる場合には、特段の事情のない限り消費者契約法10条により無効となるとしつつ、当該事案(敷引金が賃料月額の2倍弱から3.5倍強)では有効と判断しました。敷引が争えるかは金額次第、という相場観を示す判例です。事業用建物の賃貸借には消費者契約法は適用されませんので、保証金の償却条項は基本的に契約どおりに扱われます。

立ち退きの場面では、これらの特約の有効性を争うよりも、合意書の中で「保証金は償却せず全額返還する」「敷金は立退料に合算して支払う」という条件を合意することが実務的です。取壊し前提の退去に協力する借主に対して、貸主側がこの条件に応じることは珍しくありません。

原状回復――通常損耗・経年変化は借主負担ではない

民法621条は、借主は賃借物を受け取った後に生じた損傷について原状回復義務を負うが、通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除くと定めています。借主の責めに帰することができない事由による損傷も除かれます。日焼けによる壁紙の変色、家具の設置による床のへこみ、経年による設備の劣化は、借主が直す必要はありません。

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)も、通常損耗・経年変化の修繕費用は賃料に含まれており貸主負担、という考え方を示し、借主負担となる場合の範囲についても、経過年数を考慮して負担割合を減らす考え方を採っています。民法621条は、このガイドラインが示してきた考え方を条文にしたものです。

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区分例負担
通常損耗家具の設置による床・カーペットのへこみ、日常の清掃で落ちる程度の汚れ、壁のポスター跡や画鋲の穴貸主(賃料に含まれる)
経年変化日照による壁紙・床材の変色、設備の寿命による故障貸主
借主の責めに帰すべき損傷タバコのヤニによる変色・臭い、ペットによる傷、結露を放置したことによるカビ、釘穴・ねじ穴(下地ボードの張替えを要するもの)借主。ただし経過年数に応じて負担割合が減る
借主が付加した造作・設備借主が設置した間仕切り、看板、空調、厨房設備契約の定めによる。撤去義務があるのが通常。造作買取請求権の対象になり得る(後述)

通常損耗まで負担させる特約は「明確な合意」が必要

契約書に「退去時には賃借人の負担で室内を原状に回復する」「クリーニング費用・畳表替え・壁紙張替え費用は賃借人負担」といった条項が入っていることがあります。通常損耗まで借主に負担させる特約は、それ自体が無効なわけではありませんが、最高裁はその成立に厳格な要件を課しています。

最判平成17年12月16日は、賃貸マンションの敷金返還訴訟で、借主に通常損耗の補修費用を負担させる特約が成立していると認められるには、借主が補修費用を負担することとなる通常損耗の範囲が賃貸借契約書の条項自体に具体的に明記されているか、契約書で明らかでない場合には、貸主が口頭で説明し、借主がその旨を明確に認識してそれを合意の内容としたものと認められるなど、その旨の特約が明確に合意されていることが必要であるとしました。この事案では、そのような具体的な条項も説明もなかったとして、特約の成立が否定されています。

「原状回復は賃借人負担」という抽象的な一文だけでは、通常損耗の負担を借主に転嫁する特約とは認められにくいということです。契約書の原状回復条項を確認し、どの損耗が具体的に列挙されているかを見てください。

事業用建物のスケルトン返し

店舗や事務所の賃貸借では、「賃借人は、退去時に内装・設備をすべて撤去し、スケルトン状態(建物の構造体のみの状態)にして返還する」という特約が一般的です。事業用建物の賃貸借には消費者契約法が適用されず、借主も事業者として契約内容を判断できる立場にあるため、この種の特約は原則として有効に扱われます。

スケルトン返しの費用は、店舗の規模と内装の内容によって、数十万円から数百万円、大型店舗では千万円単位に及ぶこともあります。立ち退きの場面では、この費用が立退料の手取りを大きく左右します。立退料2000万円で合意しても、スケルトン返しに300万円かかれば、手取りは1700万円です。逆に、原状回復義務の免除を合意できれば、同じ2000万円の手取りが確保されます。

取り壊すのに原状回復を求める合理性はあるか

ここで、立ち退き型の事案に特有の、強い交渉材料があります。建物を取り壊す予定なのに、内装の原状回復を求めることに合理性はあるのかという点です。

原状回復の目的は、貸主が建物を次の借主に貸し、または自ら使うために、借主の使用前の状態に戻すことにあります。建物を取り壊すのであれば、内装がどうなっていても、スケルトンに戻されていても、解体工事の中で一緒に撤去されるだけです。借主に費用をかけて原状回復させることは、貸主にとって何の利益も生まず、借主にだけ負担を生じさせます。

実務では、建替えや取壊しを前提とする退去合意において、原状回復義務の全部免除を合意することが広く行われています。「賃借人は、本件建物を現状有姿のまま明け渡すものとし、原状回復義務を負わない」という条項です。この条項は、借主にとって原状回復費用の全額に相当する経済的価値を持ち、貸主にとっては実質的な負担がありません。立ち退き交渉で最初に確保すべき「金額以外の条件」が、これです。

もっとも、建替えではなく、貸主が建物をそのまま使う、または別のテナントに貸す事案では、この論理は使えません。その場合は、原状回復の範囲を民法621条と契約の特約に照らして確定し、費用の見積りを取ったうえで、立退料との関係で調整することになります。

造作買取請求権と、残置物の扱い

賃貸借が期間満了や解約申入れによって終了するとき、借主は、貸主の同意を得て建物に付加した造作を時価で買い取るよう請求できますが(借地借家法33条)、この権利は特約で排除でき、実際に多くの契約書で排除されています(第7講)。合意による退去の場合、造作の扱いは合意書で定めることになります。

取壊し前提の退去では、造作・設備・什器を「残置してよい」とする合意が実務的です。借主は撤去費用を免れ、貸主は解体時に一緒に処分します。合意書には、「賃借人は、本件建物内の造作・設備・動産を残置したまま明け渡すことができ、賃貸人はこれを任意に処分できる。賃借人は残置物の所有権を放棄する」という趣旨の条項を置きます。この条項がないと、残置物の処分について後日「勝手に捨てた」「撤去費用を払え」という争いが生じ得ます。

移転先で使う設備は、当然に持ち出せるものではなく、契約上「建物に付加したものは貸主に帰属する」と定められていることもあります。持ち出す設備と残置する設備を、合意書またはその別紙で特定しておくのが安全です。

支払と明渡しの順序をどう設計するか

判決による解決では、立退料の支払と明渡しは引換給付の関係に置かれ、貸主が支払を提供しなければ執行できない仕組みが働きます(第4講)。合意による解決では、この安全装置は自動的には働きません。順序は、合意書で自分たちが設計します。

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方式内容借主側から見た評価
全額先渡し合意書締結後○日以内に立退料全額を支払い、借主はその後の期日までに明け渡す最も安全。移転資金を立退料で賄える。貸主側は借主が明け渡さないリスクを負うため、応じない場合もある
分割(一部先渡し・残額は明渡しと同時)締結時に一部(例:半額)、明渡し確認時に残額を支払う実務で最も多い形。先渡し部分で移転費用を賄い、残額は明渡しと引換えに確保する
同時履行明渡しの日に、鍵の引渡しと引換えに全額を支払う移転費用を借主が先に立て替える必要がある。当日の支払確認(振込の着金確認)の方法を決めておく
明渡し後の後払い明渡し確認後○日以内に支払う借主に最も不利。避けるべき。応じるなら支払を確保する手段(公正証書、即決和解、保証)が必要

貸主が事業者で信用に問題がない場合でも、支払の確保は合意書の中で設計してください。「先に出たのに払われない」という事態は、合意による解決では防止装置が自動的に働かないからこそ、起こり得るのです。

合意書を「実行できる」ものにする

合意書は、署名すれば自動的に実行されるものではありません。相手が支払わない、または借主が明け渡さないという事態に備えて、合意の内容を強制執行できる形にしておく方法があります。

一つは、公証人に公正証書を作成してもらい、金銭の支払について強制執行認諾文言を入れる方法です。これによって、立退料の支払いについては、貸主が支払わなければ訴訟を経ずに強制執行ができます(ただし明渡しの強制執行には使えません)。もう一つは、訴え提起前の和解(即決和解、民事訴訟法275条)です。合意内容を簡易裁判所の和解調書にすることで、立退料の支払いと明渡しの双方について、確定判決と同一の効力を持つ債務名義が得られます(267条)。貸主側が明渡しの確保のために即決和解を提案してくることも多く、借主側にとっても支払の確保という利点があります。

いずれの方法を採るかは、金額の規模、相手の信用、当事者の負担を考えて選びます。少なくとも、合意書に違約時の定め(支払遅延の場合の遅延損害金、明渡し遅延の場合の損害金)と清算条項を置くことは、どの事案でも必要です。

PRACTICE NOTE

退去合意書チェックリスト

署名の前に、次の八点が合意書に揃っているかを確認してください。当事務所では、合意書のレビューのみのご依頼もお受けしています。

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項目確認する内容抜けているときの危険
①立退料の金額・支払期日・支払方法総額、内訳(税務上の区分に影響。第18講)、支払期日、振込先、振込手数料の負担「立退料として相当額」などの曖昧な記載は争いを生む
②支払と明渡しの順序先渡し、分割、同時履行のいずれか。着金確認の方法後払いは支払未了のリスク。同時履行なら当日の確認手順
③明渡しの期限と猶予明渡し日、期限延長の条件(移転先の確保状況など)、鍵の引渡し方法猶予がないと、移転先が確保できないまま期限が来る
④原状回復義務の免除「現状有姿のまま明け渡し、原状回復義務を負わない」旨。免除の範囲(全部か一部か)特約のスケルトン返し費用を差し引かれる
⑤造作・設備・残置物の扱い残置してよいもの、持ち出すもの、所有権放棄と貸主の処分権「勝手に捨てた」「撤去費用を払え」の争い
⑥敷金・保証金の返還全額返還か、償却の有無、返還時期。立退料への合算の可否償却条項による控除。返還時期の争い
⑦未払・係争中の金銭の清算未払賃料、供託金の扱い、賃料相当損害金の請求の放棄、明渡しまでの賃料の扱い(免除か支払か)退去後に「賃料相当損害金」を請求される
⑧違約時の定めと清算条項支払遅延・明渡し遅延の損害金。本合意以外に相互に債権債務がないことの確認。合意内容の秘密保持(必要なら)退去後の新たな請求。合意の実効性の欠如

八点に加えて、合意書の当事者が正しいか(貸主が法人なら代表者、共有なら共有者全員、借主が法人なら法人名義)、合意書の日付と署名押印、そして合意内容を公正証書や即決和解にするかどうかを確認します。

実務チェック

  • 契約書の敷金・保証金の条項(償却・敷引の有無)と、原状回復の条項(通常損耗の具体的な列挙の有無、スケルトン返しの特約)を確認した。
  • 原状回復費用(スケルトン返しを含む)の見積りを取り、免除の経済的価値を把握した。
  • 取壊し前提の退去であれば、原状回復義務の全部免除を条件に含めた。
  • 残置する造作・設備と持ち出す設備を特定し、所有権放棄と処分権の条項を用意した。
  • 立退料の支払と明渡しの順序を、借主側が不利にならないように設計した。
  • 八点のチェックリストで合意書の抜けを確認し、必要なら公正証書または即決和解を検討した。
  • 署名前に専門家のレビューを受けた。

よくある質問

「敷金は償却するのが慣例なので返せない」と言われました。

法律上、そのような慣例に根拠はありません。敷金は、賃貸借の終了と明渡しの後に、未払賃料などの借主の債務を控除した残額を返還しなければならないものです(民法622条の2第1項)。契約書に償却や敷引の特約がなければ全額返還が原則であり、特約があっても、居住用で借主が消費者の場合には、金額が高額に過ぎれば消費者契約法10条により無効となる余地があります(最判平成23年3月24日)。立ち退きの場面では、合意書で全額返還または立退料への合算を条件にするのが実務的です。

契約書に「退去時は賃借人負担で壁紙・床を張り替える」と書いてあります。従わなければなりませんか。

通常の使用による損耗と経年変化は、民法621条により借主の負担ではありません。通常損耗まで借主に負担させる特約は、負担する範囲が契約書に具体的に明記されているか、貸主が口頭で説明して借主が明確に認識して合意したなど、明確な合意がなければ成立が認められません(最判平成17年12月16日)。契約書の条項がどの程度具体的かを確認してください。加えて、建物を取り壊す予定であれば、原状回復を求めること自体に合理性がなく、免除を合意するのが通常です。

店舗の契約で「スケルトン返し」の特約があります。取り壊すと言われているのに、スケルトンに戻す費用を払わなければなりませんか。

事業用建物のスケルトン返し特約は原則として有効ですが、建物を取り壊すのであれば、借主が費用をかけてスケルトンに戻しても貸主に何の利益もありません。実務では、取壊し前提の退去合意において原状回復義務の全部免除を合意することが広く行われており、貸主側も通常これに応じます。免除される費用は、立退料の実質的な上乗せに相当しますので、合意書に「現状有姿のまま明け渡し、原状回復義務を負わない」旨を明記してください。

立退料は「明け渡した後に振り込む」と言われました。大丈夫でしょうか。

借主にとって最も不利な順序です。合意による解決では、判決のような引換給付の安全装置が自動的には働きません。先渡し、または一部先渡しと残額の明渡し時払いの組合せを求め、応じられないなら、支払を確保する手段(強制執行認諾文言付きの公正証書、即決和解)を条件にしてください。移転費用を立退料で賄う必要がある借主にとっては、先渡し部分の確保は実務上も不可欠です。

合意書に「清算条項」が入っています。これは何ですか。

「本合意書に定めるもののほか、当事者間に何らの債権債務がないことを相互に確認する」という条項です。合意で決めた以外の請求を、後から互いにしないことを約束するものです。借主側にとっては、退去後に賃料相当損害金や原状回復費用を請求されない保証になりますが、同時に、借主側から後で敷金の返還や別の補償を求めることもできなくなります。清算条項を入れる前に、敷金・未払・供託金・原状回復・残置物のすべてが合意書の中で解決されているかを確認してください。

この講の主な根拠条文・裁判例・資料

  • 民法〔e-Gov法令検索〕605条の2第4項(敷金返還債務の承継)、621条(賃借人の原状回復義務)、622条の2(敷金)
  • 借地借家法〔e-Gov法令検索〕33条(造作買取請求権)、37条(強行規定)
  • 消費者契約法〔e-Gov法令検索〕10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効)
  • 民事訴訟法〔e-Gov法令検索〕267条(和解調書の効力)、275条(訴え提起前の和解)
  • 最判平成17年12月16日通常損耗の補修費用を賃借人に負担させる特約の成立には、その範囲が契約書の条項自体に具体的に明記されているか、貸主が口頭で説明し借主が明確に認識して合意の内容としたなど、明確な合意が必要であるとした判例
  • 最判平成23年3月24日民集65巻2号903頁消費者契約である居住用建物の賃貸借の敷引特約は、敷引金の額が高額に過ぎる場合には特段の事情のない限り消費者契約法10条により無効となるとしつつ、賃料月額の2倍弱〜3.5倍強の事案では有効とした判例
  • 国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版)通常損耗・経年変化の修繕費用は賃料に含まれ貸主負担とする考え方、経過年数を考慮した負担割合

条文のリンクは法令本文へ移動します。記載の条番号から各規定をご覧ください。裁判例の原文は、裁判所ウェブサイトの裁判例検索や判例集で裁判年月日から確認できます。本講の記載は執筆時点の法令・裁判例・資料に基づく一般的な情報提供であり、個別の事案に対する法的助言ではありません。

執筆者 坂本龍亮(さかもと りょうすけ)

明徳法律事務所 代表弁護士(大阪弁護士会所属)。不動産法務(立ち退き・建物明渡し・賃料紛争・再開発対応)と企業法務・事業承継を中心に取り扱う。立ち退き分野では、債務不履行解除を理由に「0円退去」を求められていた中華料理店の代理人として8,000万円の立退料を獲得した実績を持つほか、ディベロッパー側の代理人として建替え・再開発に伴う立ち退き案件にも多数関与し、貸主・借主双方の実務に精通する。大阪公立大学法学部非常勤講師。

立ち退き・立退料・建物明渡しに関するご相談は、明徳法律事務所(大阪市西区江戸堀)まで。お問い合わせ先:info@meitoku-law.jp

公開日 2026年8月9日/改訂日 2026年9月23日  執筆者 坂本龍亮、お問い合わせ先:info@meitoku-law.jp

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