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『立ち退き20講 ― 立退料の教科書 ―』【第18講】

立退料に税金はかかるのか ― 受け取る前に知っておく課税の3区分

「手取り」まで見て交渉する

8,000万円の立退料も、課税を考慮せずに設計すれば手取りは大きく変わります。立退料の課税は、国税庁タックスアンサーNo.3155「借家人が立退料をもらったとき」が基本の整理を示しています(個別の申告は必ず税理士にご確認ください)。

図表:個人の借主が立退料を受け取った場合の所得区分(タックスアンサーNo.3155)

立退料の性格 所得区分
① 資産(借家権等)の消滅の対価補償の性格のもの 総合課税の譲渡所得の収入金額
② 収入金額・必要経費の補填の性格のもの(休業による売上補償・固定費補填など) 事業所得等の収入金額
③ ①②以外(引越費用相当を含むその他の部分) 一時所得の収入金額(特別控除50万円・2分の1課税の対象)

同じ総額でも、内訳の整理の仕方によって適用される所得区分と税負担が変わり得ることがお分かりいただけると思います。事業者の場合は、営業補償部分(②)が事業所得に算入される一方、③の一時所得部分には2分の1課税の恩恵があります。合意書における立退料の内訳の書き方は、税務の観点からも設計事項なのです。

なお、借主が法人(会社で店舗を借りている場合等)であれば、受領した立退料は原則として全額が益金となり、移転費用等の損金と通算されます。

貸主側の取扱い(参考)

貸主側の支払立退料についても、国税庁タックスアンサーNo.1382「立退料を支払ったとき」が整理を示しており、賃貸建物の敷地を譲渡するための立退料は譲渡費用、賃貸事業継続のための立退料は不動産所得の必要経費、取得の際の立退料は取得費等となります。貸主側にも税務上の設計事項があるという事実は、交渉における支払時期・名目の調整余地(双方にとって合理的な着地)を意味します。

弁護士+税理士のセット検討が結論

立退料は「取ってから考える」のではなく、**「取り方を設計してから取る」**のが正解です。当事務所では、合意書の作成段階から税理士と連携し、内訳・支払時期まで含めた手取り最大化の設計を標準としています。金額が大きい事案ほど、この設計の差は数百万円単位で効いてきます。

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