ホーム連載コラム不動産オーナーの相続24講 ─ 第9講

『不動産オーナーの相続24講 ― 地主と大家の教科書 ―』【第9講】

不動産が多い家ほど遺留分で燃える ― 金銭債権化時代の対策

遺留分は、兄弟姉妹以外の相続人に保障された最低限の取り分です(原則として法定相続分の2分の1。民法1042条)。

2019年改正の衝撃 ― 「お金で払え」になった

平成30年民法改正(令和元年7月1日施行)により、遺留分侵害額請求は金銭債権となりました(民法1046条)。「長男にアパートを全部相続させる」遺言を書けば不動産は守れますが、次男から遺留分侵害額を現金で請求されます。不動産は多いが現金は少ない――地主の家がいちばん危ない構造です。裁判所は支払について相当の期限を許与できますが(民法1047条5項)、支払義務自体は消えません。

実務的な対策メニュー

遺留分を侵害しない配分の設計。代償資金としての生命保険の活用(死亡保険金は原則として遺留分算定の基礎財産に含まれませんが、著しい不公平がある場合には持ち戻しの余地を認めた判例があります。最高裁決定平成16年10月29日・民集58巻7号1979頁)。生前の話し合いと付言事項。経営承継円滑化法の遺留分特例(除外合意・固定合意)が使える事業承継の場面もあります。対策は「亡くなる前」にしかできません。

不動産オーナーの相続24講 目次へ戻る