長男が実家と賃貸物件を取得し、次男に代償金を払う。不動産オーナーの遺産分割の主戦場は、この代償金額=不動産評価です。
評価の基準時と方法
遺産分割における不動産評価は分割時の時価が基準です(相続開始時ではありません)。当事者の合意ができなければ、調停・審判では不動産鑑定士による鑑定に進むのが通常で、鑑定費用は数十万円規模、賃貸物件では収益還元の見方も入ります。路線価ベースの主張と時価ベースの主張で、代償金が1,000万円単位で動く事案は珍しくありません。
「住み続けている相続人」の法的地位
被相続人と同居していた相続人は、遺産分割終了までの間、使用貸借契約の成立が推認され、明渡しや賃料相当額の支払を直ちに求められないとするのが判例です(最高裁平成8年12月17日第三小法廷判決・民集50巻10号2778頁)。一方で、占有の継続は代償金や使用利益をめぐる感情的対立の火種にもなります。評価・居住・代償金の3点をパッケージで交渉するのが実務の要諦です。