相続財産の大半が不動産で、10か月後の納税資金がない――地主の相続の定番の危機です。
3つの出口の比較
延納(相続税法38条):金銭一括納付が困難な場合に年賦払いを認める制度。不動産等の割合に応じて最長20年まで認められますが、利子税がかかり、担保提供が原則必要です。物納(相続税法41条):延納によっても金銭納付が困難な場合の最終手段。収納価額は原則として相続税評価額であり、抵当権付き・境界不明確・係争中などの「管理処分不適格財産」は物納できません。共有持分も原則不適格です。売却:最も多く選ばれる現実解ですが、10か月以内に、共同相続人の合意(または遺言)を得て、適正価格で売り切る段取り力が問われます。
「もめている」と全部が詰まる
遺産分割が未了だと、売却は共有者全員の同意が必要になり(第15講)、小規模宅地の特例も使えず(第12講)、延納・物納の手続も複雑化します。納税資金問題の半分は、実は「分割協議の停滞」問題です。