第21講利益配分と責任追及
高すぎる役員報酬と、いつまでも無配の会社
決定手続と具体的な請求権
この講の結論
内紛が起きると、役員報酬は攻守両方の武器になります。経営を握る側は相手方の報酬を止め、自分たちの報酬を上げ、配当を出さないことで少数株主を締め出そうとし、外された側は報酬の支払を求め、過大な報酬を争います。整理の軸は二つです。一つは、報酬を決める手続の根拠、すなわち定款の定めまたは株主総会の決議があるかどうかであり、もう一つは、個々の取締役に具体的な報酬請求権が発生しているかどうかです。総会で総額の枠が決まっただけでは個人の請求権は生じませんが、いったん個人別の額が具体的に定まれば、それは会社と取締役の契約内容になり、本人の同意なしに減額や不支給とすることはできません。解職されたから報酬が当然にゼロになるわけではなく、総会が認めたから過大な報酬が常に適法になるわけでもありません。退職慰労金は、一任決議と内規の関係を軸に検討します。配当は、株主に配当を求める権利がないことを前提に、多数派による利益移転をどう争うかという問題として扱います。
報酬の決定根拠
取締役の報酬、賞与その他の職務執行の対価として会社から受ける財産上の利益(報酬等)は、定款に定めがなければ株主総会の決議で定めます(会社法361条1項)。額が確定している報酬はその額を、確定していない報酬は具体的な算定方法を、金銭でない報酬は具体的な内容を定める必要があり(同項1号・2号・6号)、これらの議案を提出した取締役は、総会でその事項を相当とする理由を説明しなければなりません(同条4項)。この講は、一般的な非公開会社の金銭報酬を中心に扱い、監査等委員会設置会社や指名委員会等設置会社の特則、有価証券報告書を提出する公開大会社などに課される個人別報酬の決定方針(同条7項)には立ち入りません。
実務では、株主総会で取締役全員の報酬の総額の上限を定め、個人別の配分を取締役会に委ねる形が広く行われており、総会が総額を定めていれば個人別の配分を取締役会に一任することは適法とされています。取締役会が具体的な配分をさらに代表取締役に一任することも、判例上認められています(最判昭和31年10月5日集民23号409頁)。ただし、再一任の事実は取締役会議事録に残っている必要があり、一任を受けた者が枠の範囲内で具体的な額を決めなければ、個々の取締役の請求権は発生しません。争いになったときは、総会の決議(上限)、取締役会または代表取締役による個人別の決定、本人への通知や合意という三つの段階のそれぞれについて、いつ、誰が、どのような内容を決めたのかを議事録や通知書で確認します。
決議がない場合
中小企業では、定款にも総会議事録にも報酬に関する定めがないまま、長年にわたって役員報酬が支払われていることが珍しくありません。最高裁は、定款または株主総会の決議で報酬額が定められていない限り、取締役は会社に対して具体的な報酬請求権を有しないとしています(最判平成15年2月21日金判1180号29頁)。したがって、決議のない報酬は原則として法律上の原因を欠く給付であり、会社から不当利得として返還を求められる可能性があります。第20講の資金流用の調査で、「役員報酬」名目の支払について決議が見つからない場合が典型です。
もっとも、議事録がないことだけで直ちに全額返還と結論づけるのは早計です。第一に、株主全員の同意があれば総会決議に代わるものとして扱われます。株主のほとんどを経営者一族が占め、報酬額をその一族が決め、他の株主が関心を持たず異議も述べていなかった事案で、他の株主が具体的な額を認識していなくても全株主の同意があったと認めた裁判例があります(東京高判平成30年6月28日金判1549号30頁)。第二に、株主総会で事後に追認の決議をすれば、後の決議の内容等に照らして361条の趣旨(お手盛り防止と株主の利益保護)を没却する特段の事情がない限り、その報酬の支払は適法有効なものになります(最判平成17年2月15日判時1890号143頁)。第三に、事実上株主の了解を得て慣行となっていた手続で支給が決められ、株主の利益が実質的に害されていない場合に、会社が支払を拒むことは信義則上許されないとした裁判例もあります(東京高判平成15年2月24日金判1167号33頁)。逆に言えば、内紛が始まった後に多数派が「決議がなかった」ことを持ち出して相手方の過去の報酬の返還を求める場面では、これらの例外が相手方から主張されることを想定しておく必要があります。
税務申告書、給与台帳、長年の振込記録は、支払の事実とその額を示す資料にはなりますが、会社法上の決定手続そのものではありません。支払う側も受ける側も、総会での上限の決議、個人別の額、期間、変更の条件を文書に残しておくことが、紛争の予防にも解決にも役立ちます。
一方的な減額・不支給
定款または株主総会の決議によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合、その報酬額は会社と取締役の間の契約内容となり、双方を拘束します。最高裁は、その後に株主総会が無報酬とする決議をしても、取締役がこれに同意しない限り報酬請求権を失わないと判断しました(最判平成4年12月18日[出典])。この事案は、株主総会の総額決議と取締役会の決定で月額報酬が定まっていた取締役について、常勤から非常勤に変更されたことを前提に、株主総会が無報酬とする決議をしたものですが、最高裁は、取締役の職務内容に著しい変更があり、それを前提に決議がされた場合でも結論は変わらないと述べています。内紛で代表者を解職し、翌月から報酬を止めるという対応も、この判示の射程に含まれると解されます。
ただし、検討が変わる要素もあります。報酬が「代表取締役として月額○円」のように役職に連動して定められていた場合、役職を失えば連動して報酬が変わるという解釈があり得ます。役職ごとに報酬が定められ、役職の変更に伴って報酬が変動する慣行を知って就任した者は減額を黙示に受け入れていたとみた裁判例もあります(東京地判平成2年4月20日判時1350号138頁)。任期が満了して退任すれば、報酬請求権も終了します。任期満了後も権利義務取締役(346条1項)として職務を続けている間については、取締役と同一の権利義務を有することを理由に報酬請求権を認めた下級審裁判例がありますが、確立した判例とまでは言えず、争いになりやすい点です。本人が減額に同意すれば減額は有効ですが、減額された報酬を受け取り続けたことだけで当然に同意があったとみなされるわけではありません。もっとも、長期間異議を述べずに受領を続ければ黙示の同意と評価されるおそれがありますから、減額を争う側は、受領時に異議を留める書面を送るなど、早い段階で態度を明確にしておきます。使用人を兼務する取締役の使用人分の給与は、労働契約に基づく賃金であり、会社法上の報酬とは別に労働法の保護を受けます。使用人として受ける給与の体系が明確に確立している場合には、使用人分を別に受けることを前提として、取締役として受ける報酬についてのみ総会決議があれば足りるとするのが最高裁の立場です(最判昭和60年3月26日判時1159号150頁)。総会の議案には、使用人分の給与を含まない旨を明示しておきます。
多数派による過大報酬
逆の場面、すなわち多数派が自分たちや親族の報酬を引き上げ、会社の利益をほとんど報酬として持ち出している場合、少数株主は、総会決議の有無と内容、総額の上限と個人別の配分、各人の職務の実態、会社の業績、同業他社や過去との比較、親族への支払の実態を調べます。多数派である取締役が株主として自分の報酬議案に賛成すること自体は禁じられていませんが、その株主は決議について特別の利害関係を有する者に当たると解されており、その議決権行使によって著しく不当な決議がされたときは、決議取消しの事由になります(831条1項3号)。取消しには、利害関係人が賛成したというだけでなく、会社の規模や業績、職務の実態に照らして決議の内容が著しく不当であることの立証が必要です。取消しの訴えには決議から3か月の期限がありますから(第13講)、定時総会の報酬議案を争うつもりなら、総会の直後に動く必要があります。
決議の取消しとは別に、職務の実態に見合わない過大な報酬を決定し、または支給した取締役に対しては、任務懈怠として会社に対する損害賠償責任(423条1項)を追及することが考えられ、会社が動かなければ株主代表訴訟(847条)によります。役員報酬の額は経営判断として広い裁量が認められる事項ですから、「利益のほとんどが報酬に消えている」という結果だけで責任が認められるわけではなく、決定の手続、職務の実態、金額の相当性へと論点を具体化し、報酬の名を借りた利益の移転であることを示す必要があります。親族への給与についても、勤務の実態がなければ会社の損害として同様に扱います。
退職慰労金
退職慰労金も、在職中の職務執行の対価として支給されるものである限り361条の報酬等に当たり、定款の定めまたは株主総会の決議がなければ、退任した取締役に具体的な請求権は発生しません(最判昭和39年12月11日[出典]、最判昭和56年5月11日判時1009号124頁)。退職慰労金規程があり、それに従って支給されてきた慣行があっても、規程だけで個人の請求権が生じるわけではなく、総会の決議が要ります。内紛で退任に追い込まれた取締役が、多数派の反対で退職慰労金の議案が総会に提出されず、または否決された場合、原則として会社に支給を請求することはできません。多数派が議案を提出せず、または否決させたことを不法行為(民法709条、会社法429条1項)として争う構成もあり、内規に基づく支給への正当な期待をことさらに裏切ったような事案では認容例(大阪高判平成19年3月30日、広島高判令和5年11月17日)がありますが、退任取締役の法律上保護される利益を違法に侵害した特段の事情が必要とされ、認められる場面は限られます。退任の条件を交渉する段階で、退職慰労金の支給決議を和解条件に組み込む方が確実です(第35講)。
総会が金額を定めず、内規に従って決定することを取締役会に一任する決議は、内規や慣行によって一定の基準が確立しており、その基準に従うべき趣旨であれば有効です(最判昭和39年12月11日、最判昭和48年11月26日判時722号94頁)。金額を無条件に取締役会の自由裁量に委ねる決議は許されません。一任を受けた取締役会が内規の減額規定を適用して減額する場合、その判断には裁量がありますが、株主総会の委任の趣旨に照らして不合理であれば裁量権の逸脱・濫用となります。最高裁は令和6年に、退任した代表取締役が在任中に会社に特に重大な損害を与えた(規程を超える宿泊費の受領や過大な交際費の支出など)として、内規上の基準額3億7720万円を5700万円(約85%減)に減額した取締役会決議について、減額規定の趣旨は取締役会が在任中の行為に適切な制裁を課して職務執行の適正を図ることにあり、内規が減額の範囲について何も定めていない以上、取締役会は取締役の職務執行を監督する見地から、行為の内容や性質、会社が受けた影響、退任取締役の地位などを総合考慮して判断する広い裁量を持つとし、その判断が株主総会の委任の趣旨に照らして不合理である場合に限って裁量権の逸脱・濫用になると述べて、本件の減額に逸脱・濫用はないと判断しました(最判令和6年7月8日[出典])。内紛を理由とする減額や不支給が争われるときは、内規の減額事由に当たる事実があるか、その評価が委任の趣旨に照らして合理的かを、この枠組みで検討します。
無配と利益配分
株主には剰余金の配当を受ける権利がありますが(105条1項1号)、これは配当が決定されたときにそれを受け取る権利であって、会社に配当を決定させる権利ではありません。剰余金の配当は、その都度株主総会の決議で定めるのが原則であり(454条1項)、分配可能額の範囲内でしか行えません(461条)。会社に利益が出ているのに配当をしないという判断は、原則として株主総会の多数決に委ねられており、少数株主が会社に一定額の配当を請求することはできません。株主提案権(303条)を使って配当議案を総会に出すことはできますが、多数派が反対すれば可決されません。
とはいえ、無配が続くこと自体が違法でなくても、その背後で多数派が報酬や親族への給与、関連会社との取引を通じて会社の利益を取り出しているのであれば、それは前節までに述べた過大報酬や利益相反の問題として争えます。無配と利益移転を切り離さずに調べることが重要です。会社の側から見れば、無配の理由、内部留保の必要性、経営株主の報酬水準を説明できるようにしておくことが、少数株主の不信を防ぎます。なお、無配だから株式の価値がゼロになるわけではありません。非上場株式の評価では、配当だけでなく会社の純資産や将来の収益力が考慮されますから(税務上の相続税評価で少数株主に用いられる配当還元方式でも、無配の場合は一定の最低配当を前提に計算されます)、株式の売却や買取りの場面では、評価の目的と手法を分けて検討します(関連連載の非上場株式27講)。少数株主に形だけの役職を与え、実態に見合わない報酬を払うことで配当の代わりにする方法は、勤務の実態を欠く役員給与として税務上否認されるおそれがあるうえ、会社法上も職務の対価とはいえない支出を報酬の名目で行うものであり、同じ立場の他の株主との間で不公平を生みます。
金銭の性質を分ける
内紛の解決では、退任する側に支払う金銭の名目が問題になります。同じ金額でも、法的な根拠、決定の手続、税務上の扱い、支払の主体が異なりますから、次の区別を意識して条件を組み立てます。
表は横にスクロールできます。
| 金銭 | 主な根拠 | 検討すること |
|---|---|---|
| 役員報酬・賞与 | 定款・株主総会決議(361条)、取締役会等による個人別の決定 | 上限、配分の決定、本人の具体的請求権の有無、減額への同意 |
| 役員退職慰労金 | 株主総会決議または内規に従った一任決議、取締役会の決定 | 具体的請求権の発生、内規の減額事由、裁量の逸脱・濫用 |
| 従業員の賃金・退職金 | 労働契約、就業規則、退職金規程 | 労働法上の保護、使用人兼務役員の区分、支払義務 |
| 配当 | 株主総会決議(454条)、分配可能額(461条) | 株主平等(109条)、多数決、財源規制 |
| 株式の譲渡代金・和解金 | 当事者間の契約、和解 | 支払主体(会社か株主か)、実質(報酬や配当の代替でないか)、税務 |
税務上は、役員給与は定期同額給与などの要件を満たす範囲でしか損金に算入されず(法人税法34条1項)、退職給与も不相当に高額な部分は損金になりません(同条2項)。退職の実態がないまま「退職金」として支払えば、退職所得としての課税上の扱いを受けられないおそれがあります(代表取締役から非常勤への分掌変更などで実質的に退職したと同様の事情がある場合の扱いは、税理士と確認します)。会社法上の決定手続を整えることと、税務上の扱いを確認することは別の作業であり、退任条件を設計する際は税理士と協働します。
PRACTICE NOTE
社長を解職した後の報酬
【設例】取締役3名の会社で、株主総会が報酬総額の上限を年3,000万円と決議し、取締役会が代表取締役Aに月額100万円、他の2名に月額50万円ずつと決めていました。取締役会がAを代表取締役から解職し、Aは平取締役として残っています。多数派は「社長でなくなったのだから報酬は翌月からゼロ」と考えています。
この場合、Aの月額100万円は取締役会の決定によって具体的に定まり、会社とAの契約内容になっています。代表取締役を解職しただけでは取締役の地位も報酬請求権も失われず、Aの同意なしに報酬をゼロにすることはできません(最判平成4年12月18日)。取締役会の決定が「代表取締役として月額100万円」と役職に連動する形になっていたか、Aが減額に同意したか、任期がいつ満了するかを確認し、それでも支払を止めたいのであれば、任期満了時の再任拒否か、株主総会での解任(339条1項。正当な理由がなければ、残存任期中の報酬相当額を中心とする損害賠償の問題が残ります。同条2項)を検討することになります。Aが従業員を兼ねていた場合の賃金や、Aが会社に貸し付けていた資金の返還は、報酬とは別の請求です。解職、報酬の減額、雇用の終了を一通の通知で済ませたつもりになると、後で一つずつ争われます。
実務チェック
- 定款・総会決議による枠と、取締役会等による個人別の決定を分けて確認し、個人の具体的請求権がいつ発生したかを特定する。
- 決議がない報酬については、全株主の同意、事後の追認、慣行と信義則の主張を想定して資料を集める。
- 役職の変更と報酬の変更は別の問題として扱い、減額を争う側は早期に異議を書面で残す。
- 過大報酬は決議取消し(3か月以内)と任務懈怠責任の両面から検討し、無配と利益移転を切り離さずに調べる。
- 退職慰労金は規程だけでなく、総会決議と取締役会の決定まで確認し、退任条件の交渉では支給決議を条件に組み込む。
- 退任時に支払う金銭は、名目・支払主体・税務上の扱いを一致させて設計する。
よくある質問
解職した社長の報酬を、翌月からゼロにできますか。
取締役として残っている限り、具体的に定まっていた報酬を本人の同意なしにゼロにすることはできません。報酬が役職に連動して定められていたか、本人が減額に同意したか、任期がいつ満了するかを確認したうえで、再任拒否や解任を含めて対応を検討します。解職と報酬の停止は別の問題です。
総会で決めた退職慰労金なら、税務上も認められますか。
会社法上の決定と、税務上の損金算入や課税区分は別の問題です。不相当に高額な部分は損金に算入されず、退職の実態がなければ退職所得として扱われないこともあります。金額の相当性と退職の実態を、税理士と確認してください。
黒字なのに何年も配当がありません。配当を請求できますか。
会社に配当を決定させる権利は株主にはなく、配当をするかどうかは株主総会の多数決に委ねられています。株主提案で配当議案を出すことはできますが、多数派が反対すれば通りません。無配の背後で多数派が報酬や取引を通じて利益を取り出しているなら、過大報酬や利益相反の問題として争うことができ、譲渡承認手続や交渉を通じて株式を売却して退出する道(関連連載の非上場株式27講)と併せて検討します。
この講の主な根拠・判例原文
- 会社法〔e-Gov法令検索〕105条、109条、303条、339条、346条1項、361条、423条、429条1項、454条、461条、831条1項3号、847条
- 法人税法〔e-Gov法令検索〕34条1項・2項(役員給与・退職給与の損金不算入)
- 最判平成4年12月18日民集46巻9号3006頁〔裁判所ウェブサイト〕定款または株主総会の決議で具体的に定められた取締役の報酬額は会社と取締役の契約内容となり、その後の株主総会決議によっても本人の同意がない限り報酬請求権を失わせることはできないとした判例
- 最判昭和39年12月11日民集18巻10号2143頁〔裁判所ウェブサイト〕退職慰労金は職務執行の対価として報酬の規律を受けること、金額等を無条件に取締役会に一任するのではなく一定の基準に従うべき趣旨の一任決議は有効であることを判示
- 最判令和6年7月8日〔裁判所ウェブサイト〕内規に従って退職慰労金を決定することを一任された取締役会が、退任取締役の在任中の行為を理由に基準額を減額した判断について、株主総会の委任の趣旨に照らして不合理である場合に限り裁量権の逸脱・濫用になるとした判例
- 最判昭和31年10月5日集民23号409頁株主総会が定めた報酬総額の範囲内で、取締役会が個人別の配分を代表取締役に一任することを認めた判例
- 最判平成15年2月21日金判1180号29頁定款または株主総会の決議で報酬額が定められていない限り、取締役は具体的な報酬請求権を有しないとした判例
- 最判平成17年2月15日判時1890号143頁株主総会の決議を経ずに支払われた役員報酬について、事後の株主総会決議による追認を有効とした判例
- 最判昭和56年5月11日判時1009号124頁退職慰労金は職務執行の対価として報酬の規律を受け、株主総会の決議がなければ請求できないとした判例
- 最判昭和48年11月26日判時722号94頁内規や慣行により一定の基準が確立している場合に、その基準に従って退職慰労金を決定することを取締役会に一任する決議を有効とした判例
- 最判昭和60年3月26日判時1159号150頁使用人兼務取締役について、使用人として受ける給与の体系が明確に確立している場合には、使用人分を除いた取締役報酬について株主総会の決議があれば足りるとした判例
- 東京地判平成2年4月20日判時1350号138頁役職ごとに報酬が定められ、役職の変更に伴って報酬が変動する慣行を知って就任した取締役について、減額を黙示に受け入れていたとみた裁判例
- 大阪高判平成19年3月30日、広島高判令和5年11月17日退職慰労金の議案を提出せず、または否決させたことについて、退任取締役の法律上保護される利益を侵害したとして不法行為の成立を認めた裁判例
- 東京高判平成30年6月28日金判1549号30頁定款・総会決議のない役員報酬について、株主総会決議に代わる全株主の同意を認定して具体的請求権の成立を認めた裁判例
- 東京高判平成15年2月24日金判1167号33頁株主の了解を得た慣行に従って決定された報酬について、会社が支払を拒むことは信義則上許されないとした裁判例
条文のリンクは法令本文へ移動します。記載の条番号から各規定をご覧ください。裁判例のうち裁判所ウェブサイトに掲載されているものは、裁判例検索で裁判年月日から原文を確認できます。旧商法下の判例は、判断の前提と現行法との違いに注意してお読みください。
公開日 2026年7月1日/改訂日 2026年8月1日/改訂日 2026年9月21日